▶MAREWREW & SPECIAL OTHERS スペシャル・インタビュー

                        by 真保みゆき(音楽ライター)

 

ついに実現しちゃいました。人気ジャム・バンド、SPECIAL OTHERSとマレウレウのコラボ・レコーディング。11月30日にリリースされる彼らのコラボ企画アルバム『SPECIAL OTHERS』収録に向けての共演だ。いわゆる同録「カネレンレン」を中心としたウポポ(アイヌ語の歌)・メドレーに、スペアザが現場発生的に演奏で反応していく、やり直しのきかないレコーディングだったが、スタジオの雰囲気はむしろリラックス。

「すげえおもしろいことが起きそう」(宮原良太・ドラムス )

 

その言葉に象徴されるようなワクワク感が漂う。実際、ステージで披露する着物姿と、今回顔を合わせたマイ、リエ、レクポ、ヒサエ。4人のマレウレウたちとは、いい意味でのギャップがあったらしく、「2年前、ライジングサンのケータリング・スペースで最初に会った時は、同一人物だと思えなかった(笑)」(柳下武史・ギター)なんて発言も。

 

 

柳下> リエちゃんが僕にマレウレウのCDをくれたんだよね。「アイヌの民謡を歌ってま〜す♥」とか言いながら。

リエ> 私とマイが、スペアザさんの大ファンだったんです。

マイ> ご飯よそってるヤギさん(柳下)をみかけて、これは話しかけるチャンスだって。

レクポ> 確かに、他にはないタイプの音楽をやっているかもしれない…。

柳下> そん時は今みたいなギャルっぽい格好をしてたから、オキダブ(アイヌ・バンド)と一緒にやってる人たちだとは夢にも思ってなかった(笑)。

宮原> 言ってたよな。「ギャルみたいな人に話しかけられた」って。

柳下> それが夜中、オキダブのステージで歌っているのを見て、超ぶっとんで。

芹澤優真(キーボード)> なんの前知識もなく、たまたま通りがかって見た感じだったから、よけい衝撃が大きかった。

 

柳下> で、帰りのバスの中で、「あれ、CDくれたギャル、ひょっとしてマレウレウの1人かも」って、ようやく気が付いた(笑)。

宮原> その出会い以来、「いつか一緒にやれたらいいな」と、漠然と思ってはいたんです。

マイ> ありがとうございます。

 

——実際交流してみていかがでしたか?

宮原> こういうディープな音楽をやってるでしょう。普段から自給自足の生活。北海道の山奥で、サケとか獲って暮らしているのかな、とか思ってた(笑)。

柳下>いつもは僕らと同じ生活をしているんだなって、かえって驚いてます(笑)。

又吉優也(ベース)>そのギャップもいいよね。

 

——音楽の面でいうと。

宮原> もう、聞いたことがない音楽というか。安東ウメ子さんのCDとか、一応耳にしてはいたんだけど、それにしてもマレウレウは新鮮だった。歌詞の意味なんか一個もわかんないくせに、勝手に大地を感じてる。

マイ> 私はスペアザさんの演奏に“風”を感じてます(笑)。すごい疾走感がある。

——バンド的にはこういうコラボにしていきたいというイメージが、あらかじめあったんですか。

宮原> 全くなかったんです。一緒にやったらとにかく面白いものができそう、という予感に従っただけで。ただ、伝統的な歌をやることになるんだろうなとは思ってましたね。アイヌの民謡に対して、僕達が何か乗っけられたらいいなと。結果、どういう感じになっていくんだろうというワクワク感がなにしろ強かった。

レクポ> 今日も一緒にレコーディングしてて、「えっ、ここでこう来るか」と(笑)。何が飛び出すか、ワクワクしているのは、私たちの方ですよ。


——マレウレウの歌に、バンドの演奏が当意即妙に反応している印象がありますが。

宮原> ガイド的に送られてきたデモ・テープを聞いて、それしかないだろうと。

芹澤> ある程度曲調を固めたら、あとはセッション的にやってたよね。

宮原> まずは歌ありき、という部分がありました。今回他にも何人か歌手の方たちとコラボしているんだけど、その場合俺らが作った曲を渡して、ヴォーカルを好きなように乗せていってもらう。そういうスタイルをとっているんです。その意味では、今回はアルバム中最も異色のレコーディングかもしれない。

柳下> これだけ歌にインパクトがある以上、活かさないのはつまんないですよね。その一方、演奏が単なるバックトラックになっちゃうのもおもしろくない。マレウレウの歌を活かしつつ、俺たちなりの主張もするというのが、今回の共演のテーマかな。

レクポ> そこが面白いんですよ。OKIと一緒にやってる時とはまた全然違っていて。

ヒサエ> 戸惑いもあるけど。

レクポ> そうね(笑)。でも全く違う演奏が来ることで、同じ歌を歌ってるのに、また違った、新しいイメージが広がっていく。そういう楽しさがありました。

 

——スペアザの演奏自体、4人のメンバーがそれぞれ楽器でしゃべりだすような感覚がありますね。

レクポ> そこが新鮮なんですよ、だから。ありがとうございます。

スペアザ全員> いやいや(笑)。

柳下> 俺らの側としても、歌詞がわからないこと自体、楽しんですよね。(「カネレンレン」に出てくる)「ハラへッ」とか。一体どういう意味なんだろう?わかんないけど、とにかく明るくて元気なイメージなのかなとか、想像しながら演奏しているところがある。

宮原> こういう歌が語り継がれてきた、ということ自体面白いですよね。すごい神秘を感じる。たくさんの人が残しておきたい、語り継いでおきたいと思ってきた歌なわけじゃないですか。そこに秘密を感じますよね。

柳下> どんな秘密が入ってるんだろうって。聞けば聞くほど気になってきちゃう。

 

宮原>  歴史が作った歌、というか…。それをこうして演奏できること自体、本当に楽しいしうれしくて。俺らのCDしか聞かない人が、このコラムをきっかけにマレウレウの存在を知ることだって、あると思うんですよ。絶対衝撃を受けると思う。なんだこれって。そこからまた、伝統が新たな形で受け継がれていくのかもしれない。そう思っただけで、ほんとワクワクします。

柳下> 100年後、この音源がアイヌの記念館に入っているかもしれない、とか(笑)。

マイ> 嬉しい〜♥ 私たち、まじで『紅白(歌合戦)』出場を狙ってるから(笑)。

 

——レコーディングに続いて、11月20日にはライブで共演でしょ。マレウレウ的にも歌を即興的に展開していく可能性って、あると思いますか。

レクポ> すごくあると思う。レコーディングでは一応構成を決めて歌っていたけど、入れなかった歌もいっぱいある。そういうのをどんどん歌って、そこでまた演奏がどうなっていくのか、すごく楽しみ。そもそも、ウポポのあり方自体、何が出てくるかわからない、即興的なものだったわけだし。

宮原> だったら負けじと、俺らもネタを仕込んどかなくちゃ(笑)。